八幡は何故かニコニコとしたまま帰ろうとしない。
まるで、僕に何か求めるようにずっと笑顔を向け続けている。
僕の選択肢は取りあえず無視一択が正解な気がする。
「夏君」
無視一択と言う選択は完全に期を逸した。
「家に入れて」
「何で?」
「何で。って夏君、いいしゃない。二人のこれからについて語り合おうよ」
二人のこれから。って物凄く嫌な予感しかしないのだけど。
しかも僕の了解なんて無視してずかずかとアパートへと入っていく。
なまじ幼なじみなものだから部屋もバレてるし鍵の在処まで知られている。
今更ではあるけど八幡はやろうと思えば僕の家への不法侵入なんて簡単に出来るのだ。
さ。鍵の隠し場所変えよう。



