何度か夜道を曲がると住宅地に抜ける。


街灯は更にポツポツと減り、無機質な光が無機質な塀を曖昧に照らす。


「でね。クラスのブス達が私の事『調子乗ってる』とか言うの」


閑静な住宅街に響くのは僕と八幡の足音。それにいつまでも続く八幡のグチ。


僕は「はいはい」と適当に流しつつ、けれど八幡がそれに「適当に流すなぁ!!」と小さく怒る。


そんな毒にも薬にもならない問答をしつつ、いつの間にやら僕は自宅アパートの真ん前まで着いていた。


「じゃあ、八幡。僕の家はここだから」


とは言わなくとも知ってるとは思うけど。


案の定。


「知ってるよ」


あっけらかんと彼女は言い放った。


「ん、そう。じゃあ」


「うん?」


「うん?」