「てか大友は何も持ってかないのか?」


「持ったよ。鉄アレイ」


ほれ。と上げた右手には鉄アレイ。


五キロと刻まれたそれを持って大友はいつも走っている。


「どっから出したんだよその鉄アレイ」


「うん?こいつはいつもここに置いてんだよ」


大友はドアの脇の窓。その縁を鉄アレイで指した。


縁には、他にも幾つかトロフィーだフィギュアだとか雑多な小物が置いてある。


「シューズは?」


「いらん。上靴で十分だ」


見れば、確かに大友は上靴。普通のスニーカーでさえない。


本当に不思議なのだけどどうしてこんな適当な奴が全国クラスの実力者なのだろう。


あれか、天才って奴か。