そうこうしている内に部室棟が見えてきた。
部室棟は体育館脇にあり、三階建てのやや古い建物だ。
錆びに覆われた欄干、登る度にビキビキと音を立てる鉄の階段は古さと危うさを醸している。
なかなかに危険な建物だと評判だ。
ちなみに陸上部の部室は二階、その一番左端。
階段を登り、部室へと向かう。
扉を開くとむわっと男臭い空気が僕と大友を襲う。
部室の香りに関してあまり気にする人間はいないのだ。
「あ~あ、だぁれもいねー」
「……さっさと行かないとな」
「別に。もう遅刻してんだし、一分の遅刻も十分の遅刻もそんな変わんねーよ」
「気持ちの問題だよ」
ロッカーを開けジャージとトレーニングシューズを取り出し着替え始める。
「早よ着替えてー」
既にジャージの大友は入り口に背中を預け野次を飛ばしている。



