私はすぐに頷けなかった。
どうしてだろう……
「まあ、月華は今、一応仕事中だからね。
重複は基本ナシだもんね。」
にっこりと笑ったマスターが言ったけど…
私は何となく納得出来なかった。
「大丈夫だよ、心配しなくても。
一般人が入れるところじゃないし、邪魔はさせない。」
マスターがそう言うんなら、そうなんだろう。
私がアレコレいう所じゃない。
「少し休んだら戻ります…。」
「うん。せっかくなんだから、学生を楽しみなよ?」
マスターは僕は学校には行ってないからね、と笑った。
本当にマスターの考えていることが分からない。
でももう分かろうとは思わない。
いつもと変わらないマスターの声を聞いて、落ち着いた。
さて、少し寝たら“栗栖侑希”になろう。
私は部屋で寝て、マスターや乃亞に会わず、ユズキに姿を見えなくしてもらった。
「こっちの僕は実態のない魂なんだ」と意味深なことを言っていたけど、よく分からないから今度詳しく聞いておこう。



