華〜ハナ〜Ⅱ【完】



私はすぐに頷けなかった。

どうしてだろう……



「まあ、月華は今、一応仕事中だからね。
重複は基本ナシだもんね。」


にっこりと笑ったマスターが言ったけど…


私は何となく納得出来なかった。



「大丈夫だよ、心配しなくても。
一般人が入れるところじゃないし、邪魔はさせない。」


マスターがそう言うんなら、そうなんだろう。


私がアレコレいう所じゃない。



「少し休んだら戻ります…。」

「うん。せっかくなんだから、学生を楽しみなよ?」



マスターは僕は学校には行ってないからね、と笑った。


本当にマスターの考えていることが分からない。


でももう分かろうとは思わない。



いつもと変わらないマスターの声を聞いて、落ち着いた。

さて、少し寝たら“栗栖侑希”になろう。



私は部屋で寝て、マスターや乃亞に会わず、ユズキに姿を見えなくしてもらった。


「こっちの僕は実態のない魂なんだ」と意味深なことを言っていたけど、よく分からないから今度詳しく聞いておこう。