華〜ハナ〜Ⅱ【完】



私はマスターを見た瞬間に、安心する。

だけど…―――



「ここに人が来てる!!
何も知らない人が…!!」

「うん、知ってるよ?」



え!?

マスター、知ってるの…?


「桜華がたまにここに来て、塔を見てることなんて知ってる。」

「だったらどうして――」


止めさせないの?



「まぁいろいろあるんだよ。」

止めようと思えば止められる、とマスターは続ける。


一体、何を考えてるのよ、マスター?



「最近の月華は人らしくなってきたね。」

「………っ!!!」


…そんなこと………ない……



そうとは言えない。

自分でも、少し思っていた。


最近は感情が内側から溢れてくるのが分かるもの。



「まぁ良い傾向だよ。」


小さく言ったマスターの声は私には聞こえなかった。





「マスター…私、自分を保っていられない。あそこにいたら私は“栗栖侑希”でいられないの…」

「じゃあ、仕事、する?」