「この子がなんで学生やってるかなんて、乃亞が知ってる必要あるの?」
口調は変わらないけれど、どこか冷たい。
乃亞は「いいえ。」と答えた。
「僕だけ知ってれば、それていいでしょ?」
きゅ、と私を抱く腕に力が入って、乃亞は「失礼しました。」と部屋をでていった。
結局、私はやっぱりあの凛桃学園に戻って桜華と一緒にいるべきなのだ。
それが、マスターの望むこと。
私は何日か塔で過ごし、マンションに戻った。
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黒い浴室から出て、何も身につけないままリビングに行く。
チラッとみた鏡には、白い肌で左肩だけ薄く赤い私が写っていた。
クローゼットから手頃な服を出し、着替える。
そしてソファに座って再び塔でのことを思い出した。
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「あれ、また来たの?」
一日も経たずに戻ってきた私に驚いたのだろう。
マスターが不思議そうに見てきた。



