華〜ハナ〜Ⅱ【完】



マスターは、あはははと笑い、「お願い!!」と手を合わせてきた。



何をお願いしてるのかなんて分かりきってる。

だから早速窓をあけて、散らかりまくった本を壁にそって並べた。




私が風を使うことによって部屋の中はみるみるうちに片付く。

…まったく。

マスターって意外と子供。



「ありがと。」

そう言いながら私の頬にキスを落とす彼に、「ん」とだけ返した。




コンコンッ


私たちはマスターの自室を出て、仕事部屋のほうにいた。

そこの扉が叩かれる。



「どうぞ。」

マスターが声をかければ、背筋をピンと伸ばした乃亞が入ってきた。



「仕事は終わりました。金は振り込まれてます。」

「ご苦労様だね。」


くるくる回るイスに座り、膝に私を乗せてご機嫌なマスター。


乃亞は何か言いたげだった。





「…月華は、戻さないのですか?」


私はその言葉に驚いて乃亞を見る。



「戻す、って…ここに?」

「はい。学生なんて、何のためにやっているのか分かりません。」



ここまではっきりとマスターに意見出来るのは乃亞くらいか。

乃亞はいつ死んでもいいと思っているからな……