華〜ハナ〜Ⅱ【完】



「何やってたの……
いなくなっちゃダメでしょ。」

「ま、マスター?」

「…………。」



どうしちゃったんだろうか。

こんなに覇気のないマスターの声を聞いたのは初めてだ。



「起きたらいなくなってるからびっくりしたよ。」

「ごめんなさい。起こしたんだけど…」



というか、さっきの音は何だったんだろう。


抱き着かれているのをようやく離して、部屋の中を見る。



「……………」


開いた口が塞がらないとはこの事だろう。


「あはは、やっちゃった。」



ニコッと笑うマスター。

…恐ろしい。



部屋の中は見るも無残な事になっていた。




壁にたくさん並んでいた本は全部落ちてきていてページが曲がったり破れていたり。

木でできたテーブルは見事なまでに真っ二つ。

壁紙も剥がれている。

運よく窓は割れていないけど、ヒビが入ってる。

ベッドにあるのはたくさんの羽。
きっと枕を裂いたのね。

シーツもビリビリだし…



「よくここまで出来るわね……」



こう言うしかなかった。