「何やってたの……
いなくなっちゃダメでしょ。」
「ま、マスター?」
「…………。」
どうしちゃったんだろうか。
こんなに覇気のないマスターの声を聞いたのは初めてだ。
「起きたらいなくなってるからびっくりしたよ。」
「ごめんなさい。起こしたんだけど…」
というか、さっきの音は何だったんだろう。
抱き着かれているのをようやく離して、部屋の中を見る。
「……………」
開いた口が塞がらないとはこの事だろう。
「あはは、やっちゃった。」
ニコッと笑うマスター。
…恐ろしい。
部屋の中は見るも無残な事になっていた。
壁にたくさん並んでいた本は全部落ちてきていてページが曲がったり破れていたり。
木でできたテーブルは見事なまでに真っ二つ。
壁紙も剥がれている。
運よく窓は割れていないけど、ヒビが入ってる。
ベッドにあるのはたくさんの羽。
きっと枕を裂いたのね。
シーツもビリビリだし…
「よくここまで出来るわね……」
こう言うしかなかった。



