…俺は、無力だ。 守ると決めた女のことを、何も知らない。 何かを抱えていることは分かる。 でもそれを話してくれるほど心を開かせてやれる訳じゃない。 ……守れない 最近、その現実を突き付けられる。 あの侑希は、MOONに怯えているようにも見えた。 でも、違うようにも――。 いつもみたいな侑希の目じゃなくて、ナイフみたいに鋭い目。 真っ暗なのは変わらないけど、そこに憎悪が含まれた、初めて見る目だった。