私は風を使って階段を上がった。 もう時間も遅いため、人に見られる心配はない。 しかも、エレベーターより断然速いし。 バタンッ 家に入った私は真っ先に浴室に向かった。 そこは、全体を黒に覆われた空間。 私を落ち着けてくれる空間なのだ。 「…っ…は……」 うまく息が吸えず、声にならない声が出る。 奥歯を噛み締め、感情を押さえ込む。 …―――苦しい。 助けてよ、マスター……―――