「侑希。」 「え?」 マスターが私のことを侑希と呼ぶなんて。 …考えてなかった。 「…今は桜華の姫なんだな。」 「…そう、ね。」 姫、なんて大それたものじゃないけれど。 確かにここのみんなは私に良くしてくれる。 蓮士たちだけじゃなく、弘夜のような幹部以外のみんなも。 「侑希の存在はかなり桜華にとっても重要みたいだね。」 「…そう、ですか。」 「みんな言ってたよ、下で。」 ふわりと笑って、私の髪をもう一束掬った。