マスターは「そっか…」と言いながら私に近付き、髪を一束掬った。 「…ダークブラウン。」 「マスターが染めたわね、私の髪を。」 「月華の髪は染めすぎてもとの色が分からないな…」 そういえば。 私の本当の髪色は何だっただろう。 「…元に、戻せないな………」 どうして。 どうしてマスターはそんなに哀しそうなのだろう。 「………月華でも、侑希でも、なくなればいいのに。」 「え?」 「……なんでもないよ。」