コンコンコン―― 私がいる部屋のドアが叩かれる。 「………っ!」 ドアが開かなくても。 姿を見なくたって、そのオーラは感じる。 「…入るよ?」 心地好い、低く伸びる声とともに“彼”が来た。 「……あ、きと、さん―――」 「やあ。」 彼の笑顔をこうして明るい場所で見たのは、いつ以来だったろう。 「……ここで待ってたの、月華――――」 “暁斗さん”が、私の“マスター”へと姿を変えた。