華〜ハナ〜Ⅱ【完】




「おー、楓!どこ行ってたんだよ?」



低くて心地好い声が響く。


ああ、この声…聞いたことがある。




「へへ、陽斗さん!俺、女嫌いなのにコイツだけは平気なんだ!」


照れ臭そうにそう言って、私をふと引っ張る。



「あ…」


小さくよろけてしまった。――けど蓮士の手が伸びてきて、倒れずに済む。




「ん?女か?」

「…はじめまして。」



じ、と見つめられて声が出なくなる。




「……お前、どっかで会ったことねえか?」



う、


分からないと思うけれど…


ごまかすに超したことはないわよね。




「いえ、ないかと思います。」

「そうか、ふーん。」



少し納得いかないようだけど、なんとかなったかしら…?


まあ、大丈夫なはずだし。