まさか意識を飛ばすなんてね。 考えてもみなかったわ。 「でも良かった。目が覚めて。」 嘉がニッコリと、自然な笑顔で笑った。 「あとは蓮だね…。」 え? 蓮士は起きてないの? 「侑希〜………」 「どうしたの?」 楓が嬉しそうに、でも寂しそうに近付いてきた。 「侑希が起きて良かった…。」 目に涙を溜めて、そう言う。 「心配かけたのね。ごめんなさい。」 楓はふるふると首を振って、ベッドに寝ている私の右に顔を埋めた。 肩が小さく揺れているから、泣いているんだろう… 楓、ごめんなさいね。