僕がそう言うとアダムは自分の星へ行こうと言って、僕を光の速さでその星に連れて行ってくれた。その星には銀杏の木の森があって、その近くに海もあった。まるで地球のようだったので、僕は安心してアダムと共にその星に降り立った。
『ねぇ、ここはどこなんだい?』、僕がそう聞くとアダムはただ黙っていた。僕は『まさか地球じゃないだろうね』ともう一度尋ねると、アダムはきっぱり『チガウ』と答えた。多少の不安はあったけど、夢の中の事だからと僕は腹を決めて、この星を楽しむ事にした。僕はアダムとサーフィンをしたり、かくれんぼをしたりした。しばらく遊んでいるとお腹が空いてきたので、僕は『何か食べる物をくれないか?』とアダムに言った。するとアダムは『タベルモノトハナンデスカ?』と返した。『食べる物って言えば、食べるものだろう!』と僕は苛立って返した。
『ソレデハワカラナイ』
アダムはそう言うと、突然光速で空に舞い上がって見えなくなってしまった。僕はアダムが少し怒ったのかな、と思ったのだけれども、きっと食べ物を探しに行ってくれているのだろうと思い直して待っていた。
しばらくすると、再びアダムらしい光線が地上に降りてきた。
僕は『ごめんよ!ごめんよ!ありがとう!』と言いながら駆け寄ると。そこにはアダムではない円柱型をしたロボットがいた。まるでドラム缶の様だった。僕は恐々そのロボットに近づいて行くと、そのロボットはイブと名乗った。訳の分からない事が起き過ぎる。僕は元の世界に戻りたくなったので、『帰らせてくれ』と言った。
するとイブは目をチカチカ点滅させて、『オマエ、ドコニカエル?』と言った。僕が地球に戻りたいと言うと、『ソンナホシキイタコトモナイシ、イッタコトモナイ。フカノウ』と返してきた。僕は腹が立ってきて『君たちは光速で飛べるんだから、僕を地球に送り届ける事くらい容易いじゃないか!』と怒鳴ってやった。そう言うや否や、背後に光線が差してアダムが降りてきて、『オマエノホシノヨビナ、ココデハチガウカラワカラナイ、ウチュウハヒロイ、ヒトツヒトツサガセナイ』と言った。