鳴かぬ蛍が身を焦がす


その日の夜。

お風呂に入った私は大の字で自分の部屋のベッドに倒れ込んだ。

「とんだ一日だったなぁ……」

後輩の突然過ぎる告白にすら驚きだったのに、
まさか過去の恋愛にも絡んでいたなんて……。

――見られてた……のかな?アレも。

晃の言う通り、先生とは部活が終わった放課後、
隠れてよく図書室で密会していた。

体の関係は無かったけど、キスはしていた。

先生に会えるのは学校だけだし、
話したり触れたりするのもほんのひと時。

二人でいる短い時間だけが何よりも至福の瞬間だった。

「それだけで私は満足だったのにな……」

相手がどれだけ自分を想ってくれていたかなんて今になってはわからない。

でも会える限られた時間を少しでも作ってくれたのは、
愛されていた証拠だと思いたい。

たとえあの声や姿も聞く事も見る事が無くなったとしても。

♪♪♪♪~

その時、携帯のメール着信が鳴った。

寝そべっていた体を起こし、テーブルに手を伸ばして携帯を開けると親友からだった。

‘晃君にメアドと番号教えてって言われたから教えたよ~’

とデコメールがきた。

「勝手に教えた~!?」

そう嘆いた瞬間だった。