そして翌日。
検査の為の手術が、
刻一刻と近づいてきた。

手術前の準備を済ませ、
前投薬の鎮静剤を
注射され、あたしは、
眠くてウトウト
していた。

そんな私を見守る、
パパ、ママ、佑にぃ、
そして、さくちゃん。

「かえちゃん…。」

今にも、泣き出しそうな
さくちゃんの顔を見て、

「さくちゃん…、
泣いたら…ダメ…。
あたし…大丈夫
…だから。
おばちゃん…も、
ついてる…し。」

あたしは、眠気と
戦いつつ、
さくちゃんに、
そう話しかけた。

「うん…。わかった。
あたし、もう泣かない。
だから、かえちゃん、
頑張って…ね。」

さくちゃんは、ぐっと
涙をこらえて、私の
点滴のついてない手を
取って、握ってくれた。

「ありがと」

そして、看護師さんが、
「北条楓ちゃん、
そろそろ、手術室に
移動しますねー。」
と、あたしを迎えにきた。

ベッドから、
ストレッチャーに移され、
手術室に向かう。

「北条楓ちゃん、
入りまーす。
よろしくお願いします」

看護師さんが、
手術室の看護師さんに
引き継ぎをして、
手術室の看護師さんが、

「北条楓ちゃんね。
自分の名前
言えるかな?」
と、聞いてきた。

「北条…楓、です」
私が言うと、

「ありがとう。じゃあ、
手術台に移りますねー。
1、2の3ッッ」と、
他のスタッフさんと
あたしを、手術台に
移しかえた。

「楓、いらっしゃい。
もう、だいぶ眠そうね」
おばちゃんが、手早く
麻酔の用意をしながら、
私に声をかけてくれる。

「おばちゃん…、
よろしく…お願い、
します…。」
あたしが、そう言うと、
「うん、任せなさい。
さ。そろそろ麻酔
かけてくわよ。」と、
おばちゃんは、
ルート(静脈)確保の為、
あたしの腕に刺された
留置針の接合部から、
麻酔薬をゆっくり
流し入れ、ひとーつ、
ふたーつ、と、
数を数えていく。

あたしは、すぐに
意識を手放した。

気がつけば、
手術は終わっていて
おばちゃんが、
「楓、終わったわよ」
と、声をかけてくれた。