手頃な大きさのグラスが見つからず 中のものを出して漁っていると 下の奥の方に緑色の六角形の缶を見つけた。 力を込めて開けるとその反動で中に入っていた飴が散らばった。 彼女が、一緒に暮らすとき嫁入りの品だといって持ってきた飴だった。 あの時、全部食べられたと思っていたのに 何を思ったのか彼女は2、3粒だけ僕のために残していたんだ。 「私が買ってきたんだから1人で食べる!」 と言った手前、今更渡せなかったのだろう。 彼女らしいなと思って落ちた飴を拾う。