【企画】冬のある日の物語

…あのドアまで…


そんなの簡単じゃない


私はそう思い、事故前と変わらぬ足取りでドアまで行こうとした


「…っ!?」


…思うように…動かない


それ以上に、痛いっ


初めてだった


歩くのがこんなにも苦痛だと思ったのは


でも…


…唯斗に早く会いたい


その目標があったから、私は何回転んでも挫けず頑張った


看護師さんの手伝いもあり、長い時間をかけてようやくドアまで行くことができた


ドアまでといっても約2、3メートル


そんだけ歩くのに何十分もかかるだなんて…


「雪亞ちゃん凄いわ!普通の人より早い時間でいけてる。これなら、退院も早いかもね?」


…退院


退院するまでに、唯斗は来てくれるかなぁ


うんん


きっと、来てくれるよね


それに、私が会いに行くんだし


大丈夫


大丈夫


心配することはないわ


「…じゃ、今日はこのくらいにしておきましょうか。ゆっくり休んでね」


「はい」


…自分でもリハビリするようにしよう


こうして、私のリハビリが始まった


これは12月08日の出来事であった