紅の悲しき歌姫。




上から男の人の様な声が聞こえた。


いやいやいやいや、だいぶ痛いんですケド‥。



なんか手の平がジンジンする。


見てみると皮が少し剥け、血が出でいた。



「大丈夫か?立てるか?」



男の人は私に手を伸ばしながら言った。



「‥‥‥‥。」



私は無言で彼の手を払いのけ自分の力で立ち上がった。



「‥‥‥余計なお世話‥‥。」



ボソッと呟いたのが彼に聞こえたのか、彼は「チッ!」と解りやすく立ち上がっ舌打ちをした。