"あのこと"、それは俺たちがまだ2年の頃。




生徒会長選挙のときに、海斗は生徒会長に立候補していた。


でも、海斗は当日カゼを引き、代わりに同じ中学だった俺が演説を行った。





そのときの俺は自分で言うのも何だけど、勉強、スポーツに優秀で、何しろ親父譲りの整った顔立ちで、人気だった。




だから、生徒たちは俺が立候補したと思い、俺に票が集まり、生徒や教師の期待に嫌と言えず、生徒会長になった。




生徒会長になりたかった海斗に悪いと思い、謝った。




だが海斗は、





「別にそんなの良いって、だって俺、生徒会長になりたかった訳じゃ無[ネ]―し」





「何言ってんだ? なりたいから立候補したんだろ?」





「いや―、友達から聞いたんだけど生徒会長って、面倒な仕事させられるんだろ?
 俺は、そういうのやりたくないから辞退する気だった」






このヘタレが....。





かなりイラついた俺は、海斗を殴った。


『病人に何するんだよ―っ』


と言っていたが、そんなの知らねぇ。


これ以来、俺は生徒会長をやるハメにもなったし、海斗は俺が会長やるなら副会長やると面白半分に引き受けた。