「今日、かっこよかったよ」
桜からそんなセリフを聞いたのはいつぶりだろう。
「お前がそんなこと言うなんて、気持ち悪っ」
「褒めてんのに、そんな言い方しなくたって!」
フンとそっぽを向く桜。
「…サンキューな。たまには、追いかけてみるのも悪くないかもな」
「聡…」
「まーライブ終わってから、話しかけてシカトされたのはさすがにへこんだ」
家の塀にもたれながら、俺は珍しくため息をついた。
もう桜の前でかっこつけるのも限界らしい。
「きっと理由があったんだよ!」
「理由か…単に俺の気持ちが伝わらなかったのかもな」
「それは…わからないけど…」
「でも、俺決めたから」
「え?」
もう俺の中で答えは出ている。