座っている私の方はちらりとも見ず、木之下君はでっかい部活用カバンを勢いよくカウンターの上に置き、その上に両肘をつきながら早瀬君と喋り出した。


というか、一方的に木之下君が喋っているんだけど。


私、この人、なんか苦手なんだよな。


……ていうか私、得意な人自体いないんだけど。


「もう、いんじゃね?
閉めても。
どーせ、人いないし」


「5時までは開けておくことになってる」


「へー。
真面目。
大変なこって。
図書委員さんは」


木之下君はバカにしたような口調でそう言った。