車はネオンで華やかな街中をすでに抜けて、
景色は変わり、
今は街灯だけがまばらに光る道を走り続けている。
「どこに行くんですか?」
行き先の見当はつくが
知らない振りをして敢えて尋ねる。
ハンドルを握る彼を見ると、
車内のカーステレオの明かりで
真剣な顔がほんのりと浮かび上がっている。
「内緒。
着いてからのお楽しみ」
イタズラっぽく笑う彼は
私よりも5つ年上とは思えないくらい純粋な少年の顔で
私は迂闊にも、“可愛い”なんて思ってしまった。
って、
お〜い、わたしよ私
戻って来〜い。
ただの駒を相手に“可愛い”なんて何故思う!?
自分で自分にビックリするよ…
どうせ、こんな人里離れた場所。
しか〜も、思いきりグネグネした山道を上がって行ってんだから夜景しかないでしょ!?


