恋愛ゲーム



ある日、

私は彼の家に突然訪問して、彼を驚かそうと考え

ついでに彼の家で夕飯を作ろうと
両手にスーパーの袋をさげて

彼の家の玄関を開けた。


中から聞こえてくる楽しそうな笑い声。


…友達かな?


そう思いながら部屋へ続く戸を開けようと手をかけた時

耳に入ってきた会話…



「紗英ちゃんとはどう?」



「賭は俺の勝ちだよ。

真面目そうだったから時間がかかると思ったけど意外に簡単に落ちたよ。
純粋な子ほどあっさりだよな…」

そう言って

彼は更に私とのベッドの中での事を事細かく友達に話し笑っていた。



“賭”ってどういう事?

“簡単に落ちた”って何の事?




思わず私の両手にぶら下げられていた荷物は手から離れた。



「誰?」

彼は私の目の前の戸を開けた。


彼は私の姿に一瞬、目を見開いて驚きを見せたが
次の瞬間に苦笑いを浮かべ


「今の話、聞いちゃった?」

と私に尋ねた。


部屋の奥では彼の友達が
ばつの悪そうな顔をしている。


「どういう事?」


私は出せない声を振り絞りながら彼に聞いた。



「聞いていたなら話は早い。
そういう事だから。

でも、騙されたからって自分を責める必要はないよ。
俺が騙してたんだから純粋な紗英が騙されるのは当然。

じゃあな」


彼は私をあざ笑うように言って

すぐに背中を向け戸を閉めた。




私にはこの状況が理解出来なくて
動けないまま
ただ立ち尽くしていた。



…彼を責めることすら出来なかった



私は部屋の中から漏れてくる笑い声を聞きながらその家を後にした。