角を曲がり、
男からは私の姿が見えないであろう場所に来て、
ブッハハハハ…
堪えきれなくなった笑いが込み上げてきて、
私は口をハンカチで押さえた。
そして、鞄から携帯を取り出して
リダイヤルボタンを押す。
その番号の主は、私の電話に必ず5コール以内ででる。
プルルルル…
3回
4回
『紗英か?』
「今から駅まで迎えに来て」
『俺、今…』
「さっさと来てよね」
それだけ言って
携帯を閉じて鞄に戻した。
しかし、
ヒロトって男は1ヶ月か…
つまんない男…
もっと私を楽しませろよ!
だいたい1ヶ月だけで
私の何を知って“好きだ”なんて言えるの?
言えば“自分の女”になるとでも思ってる?
バカな上に勘違い…
救いようないな。
っで、
前の男は2ヶ月…
その前は確か3週間だっけ?
男って、本当に単純でバカなんだから。


