「そんな事ないよ」
私は勝利を確信して自然と緩みそうになる頬を、作り笑顔で包み隠してミナに答えた。
ミナは“そう?”と私を訝るように言って、メイク直しに誘った。
ミナと鏡の前でお化粧直し。
そこでミナは私に尋ねた。
「紗英は誰か気になる人とかいないの?」
なっ!?
何を突然言い出すのかと思えば…
でも、鏡越しで見たミナの顔は真剣。
「いないよ。突然どうしたの?」
今度は私が尋ねた。
「実はさ…」
ミナは
あの幹事クンが私と会いたがっているから会ってあげてほしい。
そう私に続けた。
ミナは今日みたいに唐突な質問をしたり、時々ぶっ飛んだ話をする。
けれど、本当に友達思いの
とても優しい子。
きっと、私の事も幹事クンの事も
一生懸命に考えてくれているんだよね。
私は幹事クンが好意を寄せている事は何度か交わしたメールで知っている。
でもね
そんなミナの大切な友達の幹事クンだから…
「ごめん…
私は木田さんの気持ちに添える事は出来ない」


