連れていかれたのは校門。 どうやら結構すぐに帰れるかもしれない。 「……んで、どれ?」 「もぉー、人なんだから、どれとかいわないの」 ありさにはいつもたしなめられる。 でもなおらないもんは治らない。 「あれ、」 でも、兄の奏太がこの有様だから、べつに“あれ”とか“これ”とか“どれ”でもいいと思う。 奏太が指差した先にいたのは、可愛い顔で空を見つめる、後輩がいた。