いつの間にか仮引退の時期になった。
吹奏楽部の三年生は受験が終わるまで部活を休み、また受験が終わった人から部活に戻り最後の演奏会に向けて練習する。

仮引退をしてから塾の時間が増えたりして私も忙しくなった。

そんななかで
いつの間にか、塾にいくときも
買い物にいくときも
少し遠回りして、その交差点を通るようになっていた。

そしてあの影のほうを見て
純くんがいないか探してる自分がいた。
半分くらいの確率で彼はそこに居から…

…だから毎回期待してそこを通ってしまう。

そしていなかっただけで寂しくてたまらなくなって
涙目になるほど悲しい顔をしている自分に気づいた。

それに気づいたと同時に私は自分の中にある感情に気づいた。

あぁ好きなんだなぁ。って。
友達としてだと思っていた
“好き”は
恋愛としての“好き”だったんだ。