指揮者の合図と共に私たちは立ち上がる。
指揮者の礼と共に
たくさんの拍手が鳴り響く。
観客と
演奏者がひとつになる……
…この感じをこのメンバーで
感じられるのは最後なんだ。
このメンバーで演奏できるのは
これで最後なんだ………
そう思ったら
もっと練習して
もっとうまく吹きたかったって、
もっとたくさん吹きたかったって
後悔が涙と共に込み上げてきた。
うぅっ………
演奏会もすっかり終わって
みんな片付けをしているなかで
私だけ泣きながら片付けをしていた。
「あき~泣くなぁ~」
涙で歪んだ視界には
心配そうな友達のかおがうつる。
「だってぇ………」
私がいいわけをしている間
菜奈が乱れた呼吸で
とどめなく動く私の背中を
ポンポンと叩いてくれていた。
「ほらほらぁ、あき、
涙は明日のお別れ会までとっときなよ!!」
明日のお別れ会で本当に最後なんだ………
明日でこんなにいい人達と、
こんなにいい仲間とお別れなんだ……


