次の日の夕方。


私はいつもの交差点の壁によりかかっていた。


…純くん遅いなぁ……

私は同じ吹奏楽の後輩が
ぽつぽつと帰っていくのを
交差点の影からぼーっと見つめていた。



学校のある方向をみていると
何人かの後輩が見えるんだけど
そこに純くんはいなかった。



……大丈夫かなぁ……

「遅れてすみませんっ」

少し心配になってきたのと同時に後ろから声が聞こえた。


間違うはずもない、
愛しい純くんの声……。

振り返るとそこには
自転車に乗った純くんがいた。


「ほぇ??何で自転車??」

「少し用事があって部活早退してたんです」


わざわざ来てくれたんだ…
…やさしいなぁ……

「わざわざごめんね??
…迷惑…だったよね??」


「全然大丈夫ですよ。
…それより先輩、どうしたんですか??」


「え…と…あのね……―」

私は奈菜とのことを話した。


話しているうちに安心して
心の奥に閉じ込めていた涙が
溢れてきた。


純くんの隣にいるだけで私はなんだか安心できるんだ。