わたしとあなたのありのまま

「お腹が空き過ぎて限界なだけだよ」

　苦し紛れの言い逃れは、即、山田に見破られた。

「『お腹が空いて辛い』って顔じゃねぇし」

　苦笑しながら山田は言う。


　今日の山田、なんだかいつもと違うな。
　異常なぐらい冴えている。
　どんな嘘も見破られそうだ。


「ねぇ、山田。
　私がさぁ、エリカ先輩から田所を奪うなんてこと、可能だと思う？」

　試しに聞いてみた。
　今日の山田なら的確な答えをくれそうだ、なんて、そんな風に思ってしまったから。


　山田は途端、目を丸くしてフリーズした。
　ああ……
　やっちゃいました、やらかしました、私。


　そして山田は、火がついたように笑い出した。

「ないない、天と地がひっくり返ったって、それだけはない！」

　山田は的確な答えをくれました。
　私の読みは正解だった訳です、悲しいけれど。

「だよねぇ」

　望んだ答えではなかったけれど、納得せざるをえない。
　山田の返答は明確かつ現実的だった。