と、その時。

カバンの中で携帯電話が鳴った。




画面には【みかづき屋ハピーズ飯崎店】。







『もしもし?』


『もしもし、お疲れさまですっ!』




この声は香織さんだ。


何となく焦っているような声が、私にトラブルを予感させる。




『何かあった?』


『……それが――…。』






香織さんの話を聞く私を、路木さんは心配そうに見ていた。





自分がどんな顔をしていたのかは分からないが、私は電話を切った後、南沢町店からハピーズ飯崎店まで車を飛ばすことになる。



食べかけのジャムパンは、まだほとんど残っていたというのに。