「佐倉くん。」


「はい。」


「うちのお店はね、
駄菓子を元の袋から出して別の袋に入れて、お店のキャラクターシールと賞味期限シールを貼って売ってる商品がけっこうあるの。」


「はい。」


「私たちはそれを“創り物”って呼んでるんだけど。
今から教えるね。袋のサイズとか枚数とかが細かく決まってるから、メモした方がいいよ。」


「はい。」






とりあえず、私は見本を作ってみせる。




チョコラスク、クリームラスク、ココナッツラスクをそれぞれ3箱ずつ。

まずはチョコラスクから。



箱の中のラスクを全部カゴへ入れる。



箱に書かれた個数と、創り物にした時の枚数・3枚を計算して賞味期限シールを用意する。
始めに作る量に合わせてやっておけば楽なのだ。

箱に明記された賞味期限をスタンプしてシールはOK。


元は1袋に2枚入りのラスク、
袋を切って10―15というサイズの袋に3枚ずつ入れる。

それをシーラーで密閉。
熱で袋は瞬時にくっ付く。



「ここは熱いから触らないようにね。」





佐倉くんは真剣にメモを取っていた。







真面目な好青年じゃないか。


彼を採用して良かったのだと思った。

仕事にやる気を見せる若者は見ていて気持ちがいいものだ。








表にお店のキャラクターである、ウサギが三日月に乗って“チョコラスク”と吹き出しがあるシールを貼り(通称・表シール)、
裏に先程の賞味期限シールを貼る(通称・裏シール)。




チョコラスクも、クリームラスクも、ココナッツラスクも、それぞれ3枚入りで一つ¥126で販売している。