「どうして車じゃなくて電車にしたと思います?」 レストランを出たところで、佐倉くんは言った。 私が首を傾げると、 「俺も、芳乃さんと一緒に酒飲みたかったからです。」 と言って笑った。 夜の街はイルミネーションで光り輝く。 12月、クリスマスは近い。 レストランから、そう遠くない場所に小さなバーがあった。 「ここ、兄貴の店なんです。」 「お兄さんがいるの?」 初耳だ(当たり前か)。 「顔は、あんまり似てないんですけどね。」 佐倉くんは、そう言って笑う。