「丸山です。ライブ、来てくれたんだね。ありがとう」

「はい……」

「ステージ上から、朝比奈さんを見つけたよ」

「えっ! あんなに人がいっぱいいたのに?」

「うん。見つけた」



ドキドキ、ドキドキ……。



「あのさ、良かったら楽屋来ない?」

「え……。でも悪いですよ。私みたいな部外者なんか」

「いいよ。それに、俺の弟とか、いっちーとかと飲み会もしたんでしょ?」

「えぇ……まぁ……」

「こっちは全然迷惑じゃないから」

「じゃあ、お邪魔します」

「うん。待ってるよ。じゃ」



ツーッ、ツーッ、ツーッ……



またしても一方的だ。

“いったいこの人は!”

何だかおかしくて、もう笑うしかなかった。楽屋に呼ばれたこともあって、私のテンションは上がる一方。



上がる一方……。



下がることなんてないと思ってたのに。



ある人と出会うまでは――



………………



スタッフに事情を伝え楽屋まで案内してもらった。