「咲夜さんなんだって?」

疾風が心配そうな顔で聞く

「えっと・・・零なら族の1つや2つどうってことないだろうけど、一応心配だから来るって」

咲夜さんらしいな・・・

でも一応って・・・

あいつ女なのに

なんか・・・だんだん心配になってきた

「そうか・・・なら行くぞ」

そう言って真っ先にwindを飛び出した

なるべく平静を装って階段を下りる

後ろから疾風と恭耶も続く

下っ端たちは幹部2人と総長が深刻そうな顔をして出てきたからか

少し戸惑っているようだった

表情を変えることなく倉庫の中を歩いていると声を掛けられた

「慧さん!何かあったんですか?」

声のした方を見ると洸と永と快が居た

この中で一番の切れ者の永が俺たちを見ていった

「零が居ませんけど、零に何かあったんですか?」

零を呼び捨てにしたのはムカついたが

雰囲気的に零を慕っているのがわかったからしぶしぶ答えてやった

「黒鳥の罠にはまった、今から助けに行く」

すると3人で輪を作ってなにやら相談しだした

「おい、慧急いだほうが・・・」

だんだんいらいらしてきた

こいつらが何を相談してるかはわかってる

だから・・・

「ついて来たいならついて来い」

そう言って倉庫の外に向かう

後ろからはお礼と慌ててついてくる足音

急がないと・・・

零が心配だ───