「歌己ちゃん、お願いだからその距離以上離れないでね、近づいてもダメだけど、離れないでね!!」
一体私にどうしろというのか。
帰ります。と部長に伝えると自分も帰るとせっせと帰る準備を始めた部長を連れて出口に向かって歩いているのだが、夜に近い校内は電気で明るいが人はほとんどいなく、この時間帯に校内に居る事さえ無かった部長はどうやら怖いらしい、という私もぶっちゃけ怖いのだけれども部長の怖がり方を見ていると冷静になれた。
「歌己ちゃん」
「・・・・・」
「歌己ちゃん」
「・・・・」
「歌己ちゃん」
「・・・・・・なんですか?」
「なんか先の方から声聞こえる・・」
「ああ、虫です」
「真面目に答えてよ」
「はいはい」
先の方とか馬鹿言わないでいただきたい、だってこの先は普段からあまり人が通らないゾーンで有名なんだぞ、そこから人の声なんて・・・・・あっダメトイレ行きたくなってきた。
「・・・・歌己ちゃん・・怖いの?」
「・・・・そうですね、ちょとこちらの攻撃が効かないモノだと困りますね」
「・・・物騒だね、ねえ、歌己ちゃん」
「なんですか?」
「怖くないように・・・手繋いであげよっか?」
「恐怖心って潔癖さえ捻じ曲げるんですね」
「ゴム手袋するから手繋いでください」
素直に自白しゴム手袋をした部長の手を軽く握り引っ張りながら先に進み続ける
手の平から人の体温を感じ取り少し恐怖心が薄れた事に安心する。部長もたまには役に立つな。
「なんだ?悪いかもしれないだろ?診てやるから大丈夫だから、な?」
「え?な?え?!」
先から聞こえて声に固まる
「・・・・・・」
「・・・・あれ?歌己ちゃんこの声?」
繋いでいないもう片方の手でそばに置いてあった何かを掴み投げた。
「・・・・歌己ちゃん・・・」
「相手が生身のモノなら負ける気がしません」
命中した新井から漏れる痛そうな声と
驚きながらも心配する結城君の声
繋いだ部長の手が以上に震えあがった気がした。
