「部長、どうぞ召し上がって下さい」

部長に消毒済みのコンビニ割り箸を手渡し銀子を目の前に出したのだが、出す前から何故か泣いている部長そんなに刺身好きだったなんて知らなかった。


「・・・・・・歌己ちゃん、歌己ちゃんが俺に何かくれるなんて凄く凄く嬉しいんだよ?でも....俺.....気」
「気持ちだけいただくなんて言わないですよね」
「うん、言わない」

恐る恐る箸で銀子を掴み震える唇に運ぶ部長


「あ」

食べた、部長が銀子食べた

「ぅっ」

まだ一噛みもしていないというのにあろう事か戻そうとする部長の口を置いてあったタオルで塞ぐ、私の手で塞ぐなんてとてもじゃない、有り得ない。


「飲み込んで下さい部長」
「う゛ーう゛ぅー!!!」
「大丈夫です飲み込めば全て終わります」

「ぅう゛ー!?!?」










「ぅっおぇッ・・ぅぷっ」
部長はあれから2時間かけてやっと銀子を飲み込む事ができた、先程からヒューヒューと喉を鳴らし嗚咽を繰り返しているがまぁいつもの事なので大丈夫だろう、私が今するべきは


「おぇっうっぷ」

「部長昨日は逃げてすみませんでしたいきなりの事だったのでつい殴ってしまいましたが部長の気持ちはわかりました私もいろいろ考えてこれから善処します」


ノンストップで言い切った、部長を見ると口に手を抑えながらもこちらを見ているちゃんと聞こえていたみたいだ、私の計画としては嗚咽に夢中で昨日はすみませんでしただけ聞こえていたらいいのになが理想だったのだが変な所だけしっかり聞くんじゃねーよ。


「歌、ぅおぇっ己ちゃ・・」

顔色が心底悪いが気持ちは通じたみたいで涙目の部長に安心というか溜息が出た。