先程からザックザック突き刺さる熱視線。


ええ、気づいてます部長ですね。バレてないとでも思っているのかバレバレだ。部長を遠巻きに見つめる女子大生にそれを避けて通る男子達ある意味目立つ。




何してるんだあの人、人様に迷惑をかけないとか一度小学校の道徳から学び直すべきだ。


「・・・・・桐谷さんすみませんが私そろそろ戻ります(※副音声:あれ、どうにかしなきゃ)」

「え、まだ居なよ?(※副音声:ほっときゃいいよ)」

「そう言うわけにはいかない気がしてすみません」

「ちょ、歌ちゃん副音声で返してよ!!!」


副音声どうのこうのとキャンキャン吠える桐谷さんを横目に部長に目線を向けるとキノコ栽培しそうなくらいダークな空気を生み出しているいったいどうしたというんだあの人お腹でも下したのかな?


さてと、と席を立つがパシンという小さく乾いた音と共に腕に暖かく触れる何か。


「桐谷さん・・・・」

桐谷さんに手首を捕まれ動けない。

「歌ちゃん」


「桐谷さん・・・・お茶はまた今度ご一緒するので我慢して下さい、それともあなたも腹でも下したんですか?」


「へ?え?何?お腹!?」

「ふう、部長といい桐谷さんといいいくつですか、我慢は身体に良くないですよ、ほらお手洗いに行ってきてくださいね」


まるで幼稚園児に話しかけるように掴まれた手首を相手の親指に向けて捻るとすんなり外れた。


「そうです。これが護身術です(※本当です)」
「!?わざわざここで披露しなくても!?でもいいかも////!!」

「・・・・ここで使わずどこで使うのですか?護身術は今この時の為に習ってきたと言っても過言ではないです」

「え、やめて?変質者扱いはやめて泣きそう」


「イケメンの泣き顔は大好物ですよ?さぁ泣いて下さい。周りの女性方が慰めてくれるでしょうから、ではこれにてドロン」


にっこり笑いイケてない親父のような捨て台詞を吐き捨て今度こそ席を立ち鼻を摘まぬ桐谷さんを横目にうなだれる部長に足を向けた。



「(ひぃ・・泣き顔が大好物だなんて!!・・エロすぎ!!・・・鼻血でちゃ!!歌ちゃんカッコイイ!!)////////」