今の今まで気持ちもない女性関係だった俺には感じた事のない浮かれ気持ちだ。泣かせた女なんてもう数数えろっつってももう覚えてないし・・・・ああ、俺散々な女性関係だなまったく、絶対歌ちゃんには知られたくないしって言ってもこの大学内に入ればいつかは知られちゃうんだろうけど。


「大変お待たせしました、梅昆布茶でございます」

スタッフの真似をして歌ちゃんのコースターにコトッと軽く梅昆布茶を置けば、なんだか本物のスタッフさんみたいですねとくすりと可愛いらしく笑った。


「わ、笑った・・・・歌ちゃんが笑った!!」

「いつも笑ってます」

「いや、あれは笑ってるというよりも・・冷笑じゃ」

「なんです桐谷さん?何か不満でも?いつまで突っ立ってるつもりですかスタッフさん達の邪魔です速やかに着席して下さい」


うん、さっきの歌ちゃんにも心臓爆発しそうだったけどこれが歌ちゃんだよ1番しっくりくるし。
素直じゃない歌ちゃんは新しく来た梅昆布茶をふぅふぅと息を吹きかけて黙って飲んでいる、それを肘をつき見る俺は多分顔がだらし無く緩んでるだろう。


途切れもしない話と返事をしない俺にうるさく話かける女ばかりを見てきた俺には新鮮で居心地がいい。


「やっぱり歌ちゃん最上級にいい女」

「桐谷さん・・・・・ついに全体内に黴菌〔バイキン〕が辿り着いたんですねおめでとうございます。それと私は生まれた瞬間から最上級です」

「歌ちゃんのばい菌なら何時でも大歓迎」

「では最悪死に至るレジオネラ属菌を差し上げます」
「れじお?ん?何それ?」
「高熱、吐き気、意識障害といった肺炎に似たような症状を引き起こす菌です」

「う、歌ちゃんすごーい」
「嫌でも医療研究会にいるので、大歓迎なんでしょ桐谷さん?」

「ぅッ//////」


最後に流し目で俺を試し見る歌ちゃんは色っぽかった。


「もうなんでもいい、なんでもいいから歌ちゃんが欲しい!!!!!」

「申し訳ありません」

「あっさり!!!!」


痛みも嬉しさに変換してくれる歌ちゃんが本当に欲しいよ、絶対手に入れるから。初めて本気で欲しいと思った君だから。