こんな急な展開に
頭が追い付かないあたしは
大学に行っても授業どころではなくなってしまった。


講義を聞きながら
住所のメモを眺め
1人悶々と悩む。


頭の中がグルグル状態。


先生が考えている事が
よくわからない。



いきなり何を言い出すかと思えば『家に来い』って…

サラッと
とんでもない事を言い出す。


その意味が
あたしの事を思って言ったのかもわからない。



確かに先生の言う通り
病院の近くに住めたら
あたし的には大学も近いし病院にもすぐ行ける。


それに加え
家賃や光熱費がタダっていうのにも惹かれない訳はない。



だからと言って
『入院』って項目で
医者である速水先生の家に行くなんて事…出来るはずない。


美味しい話に釣られたって勘違いもされたくないし、軽い女に見られたくもない。



だいたい
強制的に決めて
拒否権ないとかさ
すっごい自分勝手。



かと思えば
『守りたい』とか言うんだもん…

何がしたいんだろう。



「はぁ…先生の家で暮らす…か」



溜め息をつき
住所のメモを折り畳んでポケットに入れた。