あたしは朝から散々に涙を流し
その顔を鏡で見ると
あまりに酷く気持ち悪かった。


大学に行かなきゃいけない。

こんな顔で人前に出るのは気が引ける…。



でもそれ以上に
マンションにいる方が…
先生の側にいるのがツラかった。


今は顔を会わせたくない。




白石さんと先生がマンションを出て行くのを確認し、泣き顔を無理矢理化粧で隠して学校へと向かった。






***




「どしたの!?その目ッ」



大学に到着し
明里はあたしを見るなり驚いた。



「やっぱバレるよね…」



化粧で隠せる訳がない事は
最初から気付いていたけどね。



「何かあった?」


「んー…失恋」



講義の為
席に座って溜め息を吐いた。



「失恋って…咲桜、好きな人なんていたのッ!?」


「ちょッ、し~ッ!!!」



明里の大きな声で
みんなこっち見てますから。



「ちなみに好きな人って誰!?」


「誰って…」






速水翔灯…先生。


あたしの
"主治医"



そして…

好きになってはいけない
禁断の相手…。