━━━━……その夜。



あれから先生はまた病院に戻り
椿さん(先生のお姉さん)と
1歳の瑠樹くん(椿さんの子供)と夕食を共にした。



「椿さんの料理、すっごくおいしかったです♪」


「そんなたいしたもの作ってないわよ〜。でもそう言ってもらえると嬉しいわ」



そんな会話をしながら
夕食後の後片付けをしていると
瑠樹くんが泣き出した。



「あ〜、今手が離せないのに〜」


「トイレかな?」



食器を洗う椿さんの代わりに
瑠樹くんのオムツ交換。



「ありがとう。なんか悪いわね、手伝わせてしまって」


「全然大丈夫です♪」


「慣れてるのね」


「幼い頃、よくお母さんが仕事で忙しい時は、代わりに妹の面倒見てたので…」


「そうなの。咲桜ちゃんは良いお姉さんなのね♪」


「…そうでもないですよ」



良いお姉さんなら
幻滅なんてされない。
見捨てられはしないんです。



「そっか…。でもあたしも、良いお姉さんじゃなかったな…」



布巾で食器を拭きながら
椿さんは小さく呟いた。



「あたしは翔灯の面倒、1度だってみた事なかったから…」


「椿さん…」