「おい…何言ってんだ?」


「あたしは顔を覚えてます。…見ればすぐわかるから…」


「お前、正気か?」



先生は明らかに怒っていた。

怒鳴る訳ではなく
低く抑えめな声が、それを語る。



「そんな事させる訳ないだろ。次会えばどうなるかなんて、咲桜ちゃんが1番わかってるはずだ」


「…はい、わかってます。だけど大丈夫」


「どうして言い切れる?」


「先生がいるから…」



答えになってないんだろうけど
先生はあたしの言いたい事がわかったらしい。



「俺は責任重大だよ、まったく。そうは言っても、咲桜ちゃんを直接その変態野郎に会わせる訳にはいかない」


「でもそしたら他に方法は…」


「2・3日、時間をくれないか?ちょっと調べてみる」


「…わかりました」



結局
あたしには何も出来ない。

無力さを感じる…



「ごめんなさい…先生。何も出来なくて…」


「それは俺も同じだ。咲桜ちゃんが困ってた時、何も出来なかったんだ。だから今、助けてやりたいんだよ」



先生…ありがとう。

その気持ちだけで
あたしは十分だよ…


先生
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