「1つだけ…。その男の名前とか特徴とかを知りたいんだが…」



助けてくれようとしている先生の役に立たないと。

元は自分の事なんだから。



「見た目は黒髪に眼鏡。身長は…たぶん先生よりかは低かったと思います。でも、すみません。名前は…わからないです。」


「言わせて悪い」


「謝らないで下さい」



こっちこそ
謝りたいくらいですよ、先生。



「大学の生徒で間違いないとして…顔をちょっと拝見してくるか」



独り言を呟きながら
何やら考えている様子の先生。



でも今
『顔を拝見してくる』って言ったよね?

それは結構危ないよ?


それに捜すなんて
広い校内じゃ難しいはず。



「まずは情報収集からだな。時間が掛かるかもしれないが…もう少し待っててな?」



先生はやっぱり大人だ…。


冷静に今後を考えてる。

だから安心出来るのかな?

ううん…
たぶん先生の優しい性格が
そう思わせてるんだ。

先生が一緒なら
きっと大丈夫。

怖くない。


だから…



「あたしが…大学に行って、彼を呼び出します」



あたしにも何か出来る事をしなきゃ。