こういう時
夜、女が1人で家にいるのは
結構恐怖。


何が起きても
助けなんて来ないから。





もし泥棒だったら
見付からない様に
急いで警察に連絡しないと。


しっかり頭に叩き込んで
携帯を握りしめたまま
一歩また一歩と確実に玄関へと近付いて行った。


そして辿り着いた目的地。



壁の隙間から
そっと様子を伺うと
そこで見たのは…



「先生!?」



壁に手をつけ
体を支えるようにして立つ
速水先生。


すごくダルそうで
倒れそうで
すぐに先生の元に駆け寄った。



「大丈夫ですか!?」


「咲桜ちゃん…。悪い、ちょっと立ち眩みで…」



小声でしゃべる先生は
あまりに弱々しかった。



肩を貸しつつ
1番近いリビングまで連れて行きソファに座らせた。



「本ッッ当に疲れたー…」



先生は大きく伸びをし
背もたれに頭を乗せた。



「すごい音がしたから、驚きましたよ…」


「あー…悪い。家に着いた瞬間、一気に力が抜けてな。倒れるかと思った」



『医者のくせにダメだな』と
苦笑する先生に
『まったくですよ』と
あたしまで苦笑い。