「おう、結構前から。」



俺がそう言えば、相葉は「ふーん」と、興味無さそうに呟いた。



「あ、晴。」



相葉が指さした先を見れば、晴が慌てた様子で走って来ていた。



「ごめん、奈々っ」



「大丈夫、ちょっとしか待ってないから。」



この2人付き合ってんのか?


じゃあ………



「俺ら帰るわ。じゃあな。」



出来れば俺は姫仲と2人で帰りたい。



右手の傷を見たら、きっと心配するだろうから、今日は逆の手を繋いだ。




「最近ね、いつも靴箱に入ってた紙が入ってないのっ」



嬉しそうに笑う姫仲が愛おしい。



靴箱に紙が入っていないのは、俺が晴に、姫仲よりも先に靴箱から出しておいてくれ、と頼んだから。